はじめに
1929年に誕生した東洋建設は、海洋土木を核として発展を遂げ、陸上インフラ、建築、海外プロジェクト、さらには洋上風力という未来を見据えた分野へと事業領域を広げてきました。創業から95周年を迎え、多彩な歴史と革新を通じて社会へ貢献し続ける姿を、今回は「明日のモノづくり」という視点で描きます。
東洋建設は、兵庫県西宮市鳴尾の沖合に工業港をつくる目的で設立され、当初は阪神築港株式会社として出発しました。埋め立て事業や浚渫(しゅんせつ)工事に始まり、海を舞台にした技術力と信頼を築いていきました。これが同社の基盤である「マリコン(海洋建設)」としての歩みの出発点でした。マイナビToyo Construction
高度経済成長期には、鳴尾事業の再開を皮切りに、関西国際空港、東京国際空港、東京湾アクアライン、レインボーブリッジなど国家的プロジェクトに参画。津波再現実験水槽を備えた研修施設で防災・減災技術を高めるなど、沿岸の安全・安心のために技術革新を続けてきました。マイナビ総合資格navi
1976年には建築部門にも本格進出し、以降は都市インフラだけでなく、庁舎、物流施設、集合住宅、スポーツ施設など、多様な建築を手がけてきました。舞浜ユーラシアホテルや鳥取市庁舎、海の森水上競技場など、ランドマーク性の高い建築にも関与し、環境技術としてZEB(ネットゼロエネルギービル)認証にも対応しています。マイナビ
海外展開では1972年にシンガポール進出を皮切りに、マレーシア、フィリピンや中東へ拡大。河川改修(パッシグ・マリキナ川)、ティラワ港(ミャンマー)、モンバサ港コンテナターミナル(ケニア)などインフラ整備を通じてグローバルな信頼を獲得しました。マイナビ総合資格navi
現在、本店を大阪に置き、本社は東京に構える東洋建設は、国内外に多数の支店・営業所、研究所を擁し、総合建設業として幅広く社会インフラに関与しています。ウィキペディアToyo Construction
環境・健康経営にも注力しており、経済産業省の「健康経営優良法人(ブライト500)」に2022~2024年度連続で認定されています。ウィキペディア
未来へ向けた新たな挑戦として、2025年2月にはCyan Renewables(シンガポール)と外洋作業船に関する包括的なパートナーシップを締結。自航式多目的船やケーブル敷設船を活用し、アジア太平洋地域での洋上風力発電事業のサプライチェーン構築を目指しています。2050年カーボンニュートラルへの貢献と海洋の可能性拡大を掲げた取り組みです。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
2024年3月期の連結業績は、売上高1,867億8,100万円、純利益70億1,600万円、総資産1,641億6,000万円、従業員1,656人となっています。ウィキペディア
さらに、2026年3月期第1四半期では、売上高が前期比18.5%増の400億3,000万円、営業利益6億3,400万円と大幅改善。とくに国内建築部門が売上30.6%増、営業利益114.4%増と好調で、通期見通しでも増収増益を維持しています。自己資本比率も改善傾向です。Yahoo!ファイナンス
海洋土木で培った技術と信頼、建築分野での実績、グローバルな展開、そして環境・カーボンニュートラルへの新たな挑戦。東洋建設の歴史は、社会インフラを通じて「明日のためのモノづくり」を体現し続ける軌跡です。
長く培われた信念と技術力を引き継ぎつつ、今まさに洋上風力など未来の取り組みに舵を切る同社は、日本社会にとって欠かせないゼネコンであり、未来へ挑む建設企業の象徴とも言える存在です。