大型連休・ゴールデンウィーク(GW)が終わると、「なんとなく体がだるい」「朝起きるのがつらい」「気分が落ち込む」といった体調不良を訴える人が急増します。これは俗に「五月病」とも呼ばれ、春から初夏にかけて特有の心身の不調として知られています。実際のところ、GW明けの体調不良はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。そして、その予防や対処法にはどんなものがあるのでしょうか。
GW明けの不調には、いくつかの典型的な症状があります。代表的なものには以下のようなものがあります。
これらは肉体的な問題というよりは、むしろ自律神経の乱れや心のバランスの崩れが影響しています。
GW中は旅行やレジャー、家でのリラックスタイムにより、普段の生活リズムが大きく崩れます。特に「夜更かし・朝寝坊」が日常になると、体内時計(サーカディアンリズム)が狂い、連休明けの出勤・通学が強いストレスとなります。
休暇中は副交感神経が優位になりますが、仕事や学校が始まると交感神経に切り替える必要があります。この切り替えがスムーズにいかないと、身体は常に「戦闘モード」に入れず、だるさや疲労感を感じやすくなります。
GW中は「楽しい」「自由」といったポジティブな感情が多く、連休後の現実に戻ると、強烈なギャップを感じることがあります。特に、日常に強いストレスを感じている人は、再びその生活に戻ること自体が精神的な負担になります。
GW明けの体調不良は、一般的に「五月病」と呼ばれることがあります。これは正式な医学用語ではありませんが、精神的ストレスや環境の変化に体が適応できずに起こる軽度のうつ症状や適応障害のことを指します。新社会人や大学生に多く見られる症状ですが、近年では全年代に広がりを見せています。
まずは何よりも規則正しい生活が基本です。朝決まった時間に起き、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされます。夜もなるべく同じ時間に就寝し、睡眠時間を確保するようにしましょう。
ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、軽めの運動を日常に取り入れることで、自律神経が整いやすくなります。通勤・通学時に一駅分歩くなど、小さな工夫で十分です。
特にビタミンB群やマグネシウム、鉄分などは、心と体のエネルギーを支える重要な栄養素です。コンビニ食や外食ばかりでなく、なるべく野菜や魚、発酵食品などを取り入れましょう。
仕事や勉強を始める前に、気持ちを切り替える「ルーティン」を決めておくと効果的です。例えば、朝コーヒーを飲む、10分のストレッチをする、好きな音楽を聴くなど、自分なりのスイッチを持つことで、心が徐々に「ONモード」に入っていきます。
連休明けは心身ともに過渡期です。すぐに全力で仕事や勉強に取り組もうとせず、“助走”期間を意識して過ごしましょう。完璧を求めず、「今日は70%でOK」と自分を許すことも大切です。
一時的な不調であれば、上記の対処法で徐々に改善されますが、2週間以上症状が続く場合は注意が必要です。特に「食欲がない」「何をしても楽しくない」「涙が止まらない」などの症状がある場合は、専門の医療機関に相談することをおすすめします。メンタルヘルスのケアは特別なことではなく、自分を大切にする行動の一つです。
GW明けの体調不良は、誰にでも起こりうる一種の「心と体の調整期間」です。自分を責めることなく、少しずつ日常に慣れていくことが大切です。完璧に戻るのではなく、「少しずつ慣れていく」ことを目指しながら、この時期を穏やかに乗り越えていきましょう。