ペルセウス座流星群は、毎年8月中旬に活動がピークとなる三大流星群のひとつです。しぶんぎ座流星群(1月)、ふたご座流星群(12月)と並び、安定して多くの流星を観測できることで知られています。観測条件が良ければ、1時間あたり40個以上の流星が見られることもあります。
流星群は、彗星が太陽の周りを回る際に放出した塵や微小な岩石が地球の大気と衝突することで発生します。ペルセウス座流星群の場合、その母天体は「スイフト・タットル彗星」。彗星が残した粒子の帯に地球が突入することで、夜空に美しい光跡が生まれます。
スイフト・タットル彗星は1862年にルイス・スイフトとホレース・タットルによって発見されました。公転周期はおよそ133年で、前回地球に接近したのは1992年。この時に撒かれた塵が、現在の流星群の豊かな活動を支えています。
「ペルセウス座流星群」という名前は、流星が空のある一点(放射点)から放射状に流れてくるように見えるため、その位置がペルセウス座付近にあることから付けられました。実際には全天に流れますが、放射点を意識して観測すると流星群らしい広がりを楽しめます。
中国の歴史書には紀元前36年の観測記録が残っており、古代から知られていたことが分かります。ヨーロッパでも中世の頃には「聖ラウレンティウスの涙」と呼ばれ、宗教的な意味を込めて語られることがありました。日本では江戸時代に観測記録が見られ、現代では天文ファンだけでなく一般の人々も楽しむ夏の風物詩となっています。
ペルセウス座流星群は、毎年7月下旬から8月下旬にかけて活動します。ピーク(極大)は例年8月12日〜13日頃に訪れます。
深夜から明け方が最も流星数が多くなります。これは、地球の自転により観測地点が進行方向に向くため、より多くの流星と遭遇するからです。
街明かりの少ない郊外や山間部がおすすめです。空全体を見渡せる場所が理想で、360度の視界を確保すると観測効率が上がります。
流星は望遠鏡や双眼鏡よりも、肉眼で広い範囲を眺める方が観測しやすいです。10分以上空を見上げると、目が暗闇に慣れ、より多くの流星を捉えられます。
流星の撮影は難しいですが、広角レンズと長時間露光を組み合わせることで成功率が上がります。ISO感度は1600〜3200程度、シャッタースピードは15〜30秒、ピントは無限遠に設定しましょう。連続撮影を行うとヒット率が向上します。
2025年は極大時刻が8月13日午前4時頃と予想され、月齢も小さいため観測条件は非常に良好です。天気が良ければ、都市部を除く広範囲でクリアな流星観測が可能となるでしょう。
流星群は天文学的に彗星の進化や太陽系の構造を知る手がかりとなりますが、それ以上に私たちに「宇宙とのつながり」を感じさせてくれる存在です。ほんの一瞬の光の軌跡は、地球が宇宙を旅する中で出会う儚い贈り物といえます。
ペルセウス座流星群は、科学とロマンが融合した夏の天体ショーです。毎年決まった時期に訪れる光の雨は、時代や国境を越えて多くの人の心を魅了してきました。今年の夏は夜空を見上げ、その奇跡の瞬間を目に焼き付けてみてはいかがでしょうか。